007 いちだんらく
終わった。
悪い意味の終わったではなく、言葉の意味通りの終わった。
無事に終わった。すべてやりきった。すべて出しきった。
今までで一番書き込んだ書の作品を、今日提出した。
何月から取り組んだんだっけ。写真で振り返ってみる。
この写真が10月13日に撮られたもの。
縮小版で書いた草稿だ。今見れば、文字自体が間違えているものもあるなー。これはまだ二八の紙に書いていない時だったから、ドキドキだった。
上のものは3日後の10月16日には二八に書いている。
ただ、この字も字典で調べたものをそのまま書いただけなので、なんの工夫もしていない段階。ただ収めてみた状態。
上のは11月13日に撮られたもの。
これはまた文字を大きくして線を太くすることで黒が強く出る印象を持たせようとする工夫があったときだ。
この方向で進めようと思っていたけど、先生からのアドバイスで文字を小さくしたパターンも書いてみようということでとりあえずのキープ作品となった。
そして文字を小さくしてみたのが、下の。
さっぱりしすぎた。でもこれがまた白が綺麗に出てきていて、前のキープ作品は印象がうるさすぎて審査員から不評かもという結論になりボツになった。
そして白を綺麗に見せるため、文字の大きさは抑える方向に。
字間と行間の間隔を意識して書き込んだ。
同時に文字もひとつひとつカッコよくなるように、先生からのアドバイスをいただきながら考えた。
書く字に自信がついてくると、ついつい文字が大きくなってきてしまうので、そのへんの調整は難しかった。
書いている様子も盗み撮りしてくれた。
墨の潤滑も工夫した。でもこの時は、かすれの出し方が全然わからなくて、下品なかすれになってしまっている。今でも綺麗なかすれ書けないけどね。
いい感じになってきたけど、ここで改めて字調べをし直すと、なんと誤字を発見。焦った。そして直した。
1日一枚は書くようにした。二枚書く日もあったが、やっぱり体力と集中力が持たなくてうまくいかなかった。
提出する書道用品店にもお願いをして、締切ギリギリまで待ってもらい、気持ちを高めて書き込んだ。一枚も無駄にしたくなかった。
でも、どこかで気持ちが焦っていたのか凡ミスが出てきたりして、自分が嫌になった。
それでも自分を信じて、絶対に良い作品が書けると自分に言い聞かせて、紙が残り二枚しかない状態で書いた。
凡ミスはなかった。文字の大きさも気をつけた。墨の潤滑もつけた。二枚とも、満足する出来になった。なにより、もうこれで終わりなんだと思ったらなんだか名残惜しくて、不思議と楽しみながら夢中で書き上げた。
最終的に、最後から二番目に書いた作品を先生は選んでくれた。
良い出来だと言ってくれた。心の底から安心した。
そして無事に、書道用品店に提出してきた。
何回も同じことを言っていると思うが、今回は今までで一番書き込んだ作品になった。
いつもは作品を出品する時、書き込んでいなかったせいで自信もないしもっと書けば良くなっただろうなと後悔することばかりだったけど、今回は自分でかなり満足のいく状態で出品できたから、すでに達成感がある。
これで落選したら、初めて悔し涙を流すと思う。今想像しただけでも悔しい思いになる。
それぐらい今の自分のすべてを吐き出せた作品になった。
それができたのも、書き込める環境があったからだ。嫁の実家の床の間を貸してもらい、自分の書斎と化した。
家族には本当に本当に感謝している。書に取り組むのは自分一人かもしれないが、周りにサポートしてもらって安心して書けている。応援してもらっているのも、本当にありがたいと思う。
そしてSNSで発信する中で友達のみなさんにもあたたかい言葉をもらい、背中を押してくれた。
今回はそのことを実感する機会になった。
本当にありがとうございます。
自分のためだけじゃなく、周りの人や家族のために書を続けていきたい。続けていく。
結果発表は1月の下旬。さて、どうなるか。
神頼みではない。審査員の先生方頼み。